感想:灰羽連盟

円高に乗じてAmazon.com/Amazon.co.ukでアニメDVDを買った。
その結果のAmazonからのレコメンドがやたらくるんだけど、目に付いたから某所で"試し見"だけ。
…"試し見"だけ、と思ってたんだがなぁ


一話の時点で思ったのは、この話に出てくる『灰羽』って単語をすべて『人間』に置き換えて見ても面白いだろうという事。
灰羽」というフィルターを通して、いろいろな疑問を投げかけてくる。
・どうして灰羽は働かなくちゃいけないのか
・どうして灰羽は突然いなくなるのか
人間も哲学で同じようなもんを語るでしょ。


あと普通の作品の中で提示された疑問には、大抵"一つだけ"の答えが用意されてて、「答え=作り手のエゴ」になる。
だけど灰羽連盟では、それぞれのキャラクターの異なる考えがあって「あの子はこう思ってるけれども私はこう思っている」って主張する。
(カラスに対する考え、"いなくなる"ことについての考えとか)
そこに他人を捻じ曲げようとする押し付けがましさがなくていい。


人間と異質なモノの生活を描く話って、どうしても差別を過剰に描いて『差別、良くない。みんな、一緒』なメッセージ臭がプンプンして食傷気味なんだけど、灰羽連盟はそんなじゃなくて人間と灰羽の距離感を大切にしている話のように思った。
いつまでも平行線で、だけど心地よい距離感。
服屋のにーちゃん、時計屋のおじさん、パン屋の人たち、司書仲間、みんな優しいキャラクターだけど一定以上は踏み入らない。
寿命(?)の違いや生活の決まりとかもあるから、近づきすぎるとお互いに無理して「心地よい距離感」にはならないだろう。




さてさて、Amazon.co.jp/Amazon.co.ukどちらで買おうか。
英語音声は低い声+すばらしく棒で、落ち込みシーンとか聞き取りにくかったんだけれども、どうせなら英語ダブ有りのEU盤を買うべきか、珍しく安い日本盤を買うべきか。


価格チェックしたら、普段アニメ激安の米アマゾンでは微妙に中古/新古でプレミア付いてるし、結構向こう受けしたのかも。
追記:Amazon.comのレビュー読んだら、同じように「私たち自身の経験のメタファーだ。」って、やっぱり同じこと考える人いたわw
その人のレビューがいい感じだったから、てけとーに訳して紹介。

最初のいくつかの話を見たら、きっと「あずまんが大王」みたいな気軽なコメディーだと思うかもね。
普段どおりのかわいいアニメの子供達がいるんだ。
でもコメディーなんかじゃない。
深くて、暗くて、この話の最後には涙が出ていることに気づくかもしれないよ。
AnimeNfo(英語アニメポータルサイト)では映画「マトリックス」のようなSFミステリーと紹介されているけれど、違うんだ。
(映画「シックス・センス」の)シャマラン監督作品の、"安売りな"混乱する幕引きなんてない。
この作品は、普遍的なテーマ「救い」「意味」「目的」「愛」「喪失」「信頼」を芸術的に描き、魂と感情の旅に連れて行ってくれるよ。
色々な意味で、僕達自身の経験を表しているようさ。


僕らはどこか知らない場所からこの世界へ生を受け、この世界にいる意味を理解しようとする。
時には、行き先さえ知らずに、愛してる人にサヨナラを言って見送らなければいけないこともある。
僕らもいつか同じ場所へ行くってわかるのに、それがどこだがは決してわからない。
それでも、僕らは悩みや悲しみの意味を見つけるんだ。


僕は、この話はそういうものについての話だと思うよ。
悲しくも、前向きにもなれる。それが人生というものだから。


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